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「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

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「流血の夏」梅本弘

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流血の夏

 第二次ソ・フィン戦争、いわゆる「継続戦争」を扱った本。
 フィンランドが主役の物語仕立てだが、過度に赤軍憎しがにじみ出ている文章でもないのですっきりと読める。
むしろ赤軍の戦術についてもそれなりにきちんと書かれており、「陣地は砲兵の支援を受けた戦車部隊に突破された」「戦車の支援を受けた歩兵がウラーと叫び声をあげながら突撃してきた」「戦車の進撃は地雷原に阻まれたが、そこで工兵が呼び出されて各戦車分隊には工兵と自動火器をもった狙撃兵が編入され戦車はまた進撃を再開した」といった記述がよく登場するあたり、冬戦争当時は歩戦砲の連携がとにかくなっていなかった赤軍も、この時期にはすでに諸兵科連合戦術を完全にものにしているのがわかる。
随伴歩兵もなく突出した赤軍戦車が次々に狩られたり、単独進出したソ連兵が次々になぎ倒されていったといった記述はもう見られない。
(ただし、ノモンハンやスターリングラードでも見られたように歩兵による近距離戦闘は不得手である点は変わっていないようだが)
 一個大隊が守る地区正面に対して野砲96門、重迫40門、ロケット砲100問、自走砲60両を集結させるという赤軍特有の火力狂いはこの戦線でも健在。
突破地区正面1kmあたり400門対5門という比率を見るに、赤軍の火力はなんとも次元が違うと思わざるを得ない。

 それにしてもフィンランド軍の奮戦振りには目を見張るものがある。
戦闘機はソ連製のコピーエンジンを乗せた米戦闘機の使いまわし、陸では未だにドイツ国防軍の記章がついたままのパンサリ・カウフ(パンツァーシュレック、輸入品)や捕獲されたT-34戦車やデグチャレフ軽機で歩兵の鉄帽はハンガリー製だったりルーマニア製だったりドイツ製であったりと使えるものはなんでも使う、およそなんでもあり。
(まあ、要するに物資が不足していたからなのだが……)
 それにしても終始物資不足に悩まされているという記述が続いていても「重砲弾が一門あたり400発、軽砲弾は一門あたり1200発用意されていた」という記述を見ると「なんだ物が無いと言ってもそんなに揃えられるのか」と思ってしまうのは日本陸軍のほうに慣れているがゆえの悲しい常識というべきだろうか。
上記の「フィンランド軍には1kmあたり5門しかなかった」というのも確かに欧州戦線、それも赤軍相手であることを考えればまったく不足なのだが、日本陸軍的に言い直すと「1kmあたり3.3門あればいいところを5門も揃えた。たとえ航空兵力がゼロになっても勝てる」(サイパン戦時の日本陸軍参謀本部)ということになるわけで、何というかもう笑うしかない隔絶がある。

 ともあれ、資料としては非常によく読める一冊なのでお勧め。
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