「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

メモ「ドイツ基本法と安全保障の再定義」松浦一夫

ドイツにおける防衛問題の主管は誰が担当するのかという話。

「基本法第65条は、『政治の基本方針(政綱)』の決定を連邦総理大臣の権限としている。(中略)しかし、他方で基本法第65条は、複数の所管にわたる重要決定は、合議機関としての連邦政府の合議による決定に委ねられる旨定めている(第三、4文)。(中略)体系的に見れば、連邦軍の対外的出動決定も、合議体としての連邦政府の権限下にあるものと見るのが妥当であり、大方の学説の支持するところである」
「軍隊出動決定権の帰属がはっきりしたところで、出動決定が防衛上の緊急事態や同盟上の緊急事態の確定とどのような関係にあるのかを問題にしなければならない。(中略)規定の曖昧さも手伝って、ドイツの憲法学説は、この点について見解が大きく分かれている」
「防衛上の緊急事態の確定が、連邦軍の防衛出動の必要条件であるか否かについて、これを肯定する学説は、大要次のような根拠を持ち出す。-民主国家においては、条約締結など重要な対外作用には、議会の同意・承認を必要とするのが通例である。軍隊の出動決定は、国家の生存にかかわる重要な対外作用であり、当然に国民代表機関の同意・承認を必要とすべきである。また、法治国家においては、国による国民の権利の侵害は法律に基づいてのみ許され、立法府の決定に委ねられている。軍隊の防衛出動の下令は、国民の生命・財産に重大な影響を与えるものであり、自国の国家機関の決定により惹気される全国民的危険に対しては、当然に法治国家原理により立法府の同意を要するものと解さねばならない-。
この説を支持する論拠として、次のような点が挙げられている。①同盟国支援のための軍隊の出動は、場合によっては、紛争の拡大激化の危険を内包し国家・国民全体の運命を左右するものである。国民が国家の最重要決定に議会を介して関与できないのであれば、国民主権原理(基本法第20条2項)は意味を失う。②、ドイツが同盟国支援義務により参戦する場合、連邦領域が敵国の反撃対象とされる可能性は大きい。
その結果、政府の独断的な派兵決定により、防衛上の緊急事態を自ら惹起することになり、基本法第115a条第1項に基づく議会による防衛上の緊急事態の確定を、政府が先取りしこれを無意味化することになってしまう」158―160p

著者はこの後軍隊出動決定政府専管論を紹介しつつ、「文理解釈として、また三権分立制の『機能-法的』理解に基づく軍事的合理性の観点からすれば、軍隊出動決定政府専管論に説得力があるが、国民を戦争に巻き込むおそれのある決定から国民代表機関の関与を完全に排除してしまうことが憲法政策上妥当ではないことも、多くの論者が指摘するところである」と述べている(162p)。

この記述、まさに非常事態対処が大統領の専管事項とされ議会がまったく関与できないロシアを思い起こす。
付け加えると日本も一度国会は防衛出動を審議承認すると、その後に首相の指揮権に関与できるような規定がなく、ただ首相が自らの判断で自衛隊を撤収してくれるのを待つ以外なにもできないという法体系になっているのでロシアを一方的に笑ってもいられない。
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