「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

メモ「ドイツ基本法と安全保障の再定義」 松浦一夫

与野党の改憲をめぐる議論の政治的混乱に対して、「防衛監察委員から『政治への不信感を抱くドイツ連邦軍兵士が増えている』という報告が出ている」という記述が登場したのを見て興味を抱いた。

はて、防衛監察委員とはなんぞ?と思って調べてみると、ドイツ連邦軍が有する独自の制度として軍の活動が適正であるか、連邦軍兵士の権利が守られているかを外部の人間が監察する制度であるということらしい。
日本にはないのか?と思って調べてみると、防衛監査本部なる部局が自衛隊にも存在する。

さらに調べてみると、両者の法的位置づけの違いもわかってきた。

ドイツの防衛監察委員は直接ドイツ基本法に設置根拠がある。議会を補佐するために軍とは別に設けられた機関である。
対して、自衛隊の防衛監査本部の設置根拠は防衛省設置法。防衛省の中のいち部局。

また防衛監察委員は極めて権限が強力である。すべての部隊・司令部に対する抜き打ち検査権、すべての文書の閲覧請求権、非開示裁判も含めたすべての刑事手続への立会権が明記されている。文書閲覧請求に対しては機密保持上の拒否も認められているが、国防大臣が告知する必要がある。
連邦議会議員からの情報、連邦軍兵士からの請願、抜き打ち検査、その他の方法によって軍人の権利が侵害されたことを知った場合はその時点で独自に行動ができ、それに対して各行政機関・裁判所は協力を求められる。
防衛監査本部に認められているのは「関係者に対する文書または口頭による説明・報告要求、証拠物件の提出要求とそれによって提出された物件の保管ができること、立入検査ができること、関係する官房長等に対して説明の要求」のみ。

実態としても防衛監査本部の活動については疑問点がある。周知の通り海自においていじめ自殺がずっと続いている(さわぎり事件、たちかぜ事件、去年の横須賀所属艦事件)が、「防衛省におけるいじめ等の防止に関する検討委員会」が設置されたのは平成26年になってようやく。
その間防衛監査本部は24年以来毎年必ず報告書に「パワー・ハラスメントに対する防衛省としての統一的な指針を定める等の対応を検討すること」が「望ましい」と記しているにもかかわらずである。しかも「指針」が策定されたのはさらに翌平成27年。

また気になるのは「防衛省におけるいじめ等の防止に関する検討委員会」において第一回ではたちかぜ事件を引用し「これらのことを深く受け止めなければならない」と書かれているが、検討委員会議事は毎年30分で終わっており、出席者のうち最大の当事者であるはずの海上幕僚長は代理として幕僚副長を出席させるにとどまる。
全体的な出席者は防衛副大臣、事務次官、人事教育局長、統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長。外部の人間はおらず、全3回の委員会開催のうち2回は統幕長・海幕長は代理で副長・総務部長を出席させるのみ。海上自衛隊の問題意識に対して疑問を感じる。

26年報告にたちかぜ事件について「概要・問題点を理解していない職員が見られる」という記述が含まれるのも気がかりな点である。

通して考えるに、ドイツの防衛監査委員制度に比べて我が国の自衛隊の防衛監査本部の実効性に疑問を感じる。
ひいては我が国では軍人の権利が十分に守られていないということでもあり、ドイツとの比較で言えば、ドイツは軍人の市民的権利を明確に法的に保証しているが、自衛隊員には法的な義務はあっても権利は特に条項として明記はされていない。

軍隊の民主主義的な統制の強化のためにも改善を要すべき項目であると感じる。
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