「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

「臨時軍事費特別会計 帝国日本を破滅させた魔性の制度」鈴木晟

太平洋戦争に至るまでの歴史を財政的な視点で見る本。
冒頭100p程度は非常にくだらない自由主義史観的な満州事変の正当化やソ連の全世界同時革命への陰謀で埋まっているが、腹切り問答の浜田国松と反軍演説の斉藤隆を「数少ない『空気』に負けない高潔な人士」として非常に持ち上げているところを見るに、さすがに倉山満や渡部昇一あたりの真性の資源の無駄遣いよりはましではある。

それはともかく、臨時軍事費特別会計による議会審査の空文化はすさまじいものがある。
長くても一ヶ月、短いと3日程度で通過している。
このあたりはいまいち掘り下げが浅く(というよりただその事実を指摘するのみにとどまるも同然)、アマゾンレビューで大蔵省の財政史のほうがよほどきっちり書いているという指摘があるのもうなずける。
もっともその大蔵省の本は調べた限り市価10000円を超えているのでこの本が出版された意味もないわけではないようにも思う。

個人的に一番印象深かったのは戦時統制経済下の国民生活である。
昭和13年から14年の一年間で統制違反による取調べを受けた人間は全国で225万人を超えているが、これは現在窃盗犯として検挙される人員の認知件数より100万弱ほど多い(平成23年で150万人程度)数字で、つまり現代における窃盗犯よりはるかにありふれた犯罪だったということになる。
大阪の酒屋では4ヶ月間で2550樽の酒を販売したものの、うち829樽は実は水を詰めて売っていたという話もあり、太平洋戦争が始まる2年も前の時点でこのありさまというのは非常に何とも言えない気分になる。

期待し過ぎると空振りになる内容で実際評者も空振りした気分はあるが、まったくの無駄遣いでもなかったという程度には面白かった一冊。
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