「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

「政友会と民政党」井上寿一

片山杜秀の「未完のファシズム」が面白かったので別の本を読んだのだが、
「政治的判断能力なき大衆が気分で投票しては、そのあとの展開があまりに選挙時の話と違うので当惑し、次の選挙で怒りをぶちまけようとする。しかし相変わらず判断能力は劣ったままなので、選挙を重ねれば重ねるほど、国のかたちが狂ってゆく。それが昭和初期だった」
という記述に釈然としないものを感じて読んだ戦前日本政治史。

結論から言えば井上寿一は片山氏とは正反対の見解を持つ。

「民政党の浜口雄幸内閣の恐慌克服政策は、金解禁と緊縮財政だった。この政策は功を奏すこよなく、経済政策が拡大した。それでも国民は浜口内閣を支持する。この年2月の総選挙は民政党が273議席で圧勝している。民政党は選挙期間中、緊縮財政に伴う国民の生活水準の低下を否定しなかった。なぜ民政党は勝ったのか。

社会の経済的な平準化を求めて、国民が民政党に投票したからである。格差の是正のためなら、貧しくなってもかまわない。このような国民の覚悟に答えるために、緊縮財政に聖域を設けることなく軍事費の削減に挑戦した浜口内閣は、軍部の反対を押し切ってロンドン海軍軍縮条約に調印する。ここに「昭和デモクラシー」が発展の頂点に達した。

この事例は何を示唆するのか。消費税増税論議は反対論が弱かった。消費税の引き明けは家計を圧迫する。それはそれでかまわない。国家による富の再分配メカニズムが有効に機能するのであれば、負担は福祉・医療・年金などの公共サービスに還元されるからである。
当時も今も、賢明な国民の数は政治家が考えるより多い」

井上氏は「戦前日本の国家構想」でも述べていたが、戦前日本の議会政治の終焉はむしろ政党の自壊の産物であるとする。
「内容には賛成である」と公に述べているにも関わらず与党攻撃のためだけに「天皇大権を犯す」などという理屈をつけてバッシングした民政党の不戦条約攻撃や、主観的には議会主義擁護を目的としていたにも関わらず議論を尽くさず天皇大権で押し切った結果客観的には議会主義へ打撃を与えた浜口雄幸内閣の対応などが主な例。

対する有権者は政友会の政治的腐敗やうかつな親ファッショ発言を決して見逃さず、次の選挙で容赦なく議席を減らしている。

井上氏は結論として
「民主党は安直に官僚バッシングをするより民政党が昭和デモクラシー発展のために陸軍統制派や新官僚とも提携しようとしたことを模範とすべきで、自民党は選挙で敗れた政友会が国民生活をつぶさに調べ直し地主・資本家寄りの政策路線を社会民主主義的路線に修正したことを参考にすべき」
と述べている。
これについては私は全面的に同意見である。

戦前史として新書本とは思えない密度があり、非常に面白かった。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://kurowani.blog6.fc2.com/tb.php/1780-faf1169d