「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

「理想だらけの戦時下日本」井上寿一

井上氏の新刊。
この密度でこんなハイペースで本を出し続けているというのはそれだけでも凄いものがある。

日中戦争下での国民精神総動員運動(以下、精動と省略)がどのように展開し、どんな問題に突き当たったのかを記した本。
結核の罹病率が諸外国に比して2から5倍以上にもなっていた当時の日本において健康推進を薦めたり、米国映画を禁じて外貨貯蓄を狙ってみたり、奉仕活動を義務付けてみたり、贅沢を節制すべく(これは上級所得層を狙った社会の平準化への動きでもあった)礼服の廃止や日の丸弁当の推進を行ったりと多岐にわたる。

しかし現実には強化週間の乱発で何がなにやらよくわからなくなり、上意下達の結果運動が形式化し、国産映画は視聴者を楽しませるものではなく、奉仕活動は「なぜ誰も彼も適正の考慮なく一様に土方の真似事なのか?」という疑問が呈され、日の丸弁当は「育ち盛りの子供にこんな低カロリー食を強いるのが本当にいいことなのか」という批判を招き、礼服の廃止は「普段と晴れの日で区別なく同じ服を着ろというのは日本人の礼儀にもとる」という反対が出て、結局日本の新体制はファシズムによるものが良いと回答したのは10%に満たないという結果に終わる。

結局のところは強力な指導力の不足という結論に帰結してしまう。
これ自体はありふれているが、その傍証となるこれらの事例は当時の世相を知るうえで大変興味深い。

ちなみに本題とは離れているが、私が一番興味深く感じたのは健康推進のためドイツの奉仕活動を学ぶべく出向した厚生省の官僚が独官僚から
「なぜ日本はトラウトマン工作を打ち切ったのか、『相手にせず』声明など正気ではない」
と問われたというくだり。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://kurowani.blog6.fc2.com/tb.php/1742-d50cba3f