「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

「2・26事件とその時代」筒井清忠

従来まったく非合理的な、勝手な義憤によってのみ立っていたと解釈されてきた2・26事件の決起将校たちにも彼らなりの合理性はあった、とする本。

まず筆者は決起将校を「現実の天皇を絶対とする派」と「理想の天皇像を現実に追求する派」に分ける。
獄中から昭和天皇を叱咤する文章を書いた磯辺浅一が後者の代表。

襲撃目標も

・現内閣(岡田啓介内閣)打倒
・通例の後継首班候補者排除

まずこれによって反皇道派系の要人を暗殺し、その上で

・東京外にいる軍長老の宇垣・小磯ら大将および中将に保護検束を要求
・軍事参議官も反皇道派とみなされる人物は即時罷免や関東軍司令官への転出を要求

これによって皇道派に反対する人間を排除し賛成派のみが残ったところで軍上層部に大命降下するよう仕向け、なおかつそのときには真崎しかいないという状態を作ることを狙うというもので、それなりの合理性をもって工作を考えていたことがわかる。

それが阻止されたのはひとえに木戸幸一(内大臣秘書官長、当時)が真っ先に昭和天皇に
「暫定内閣の成立は反乱軍を利する、対処としては辞表は一時預かりとしてまず反乱鎮圧で一本化すべき」
と上奏しこれで宮中をあらかじめまとめたことで、もしこの上奏がなかった、あるいは気づくのが遅れていたらいかに昭和天皇の反乱軍鎮圧の意思が固くとも次々に暫定政権成立を上奏され続ければそれにどこまで抗しきれたかは疑問、と述べている。

決起将校たちの持っていた計画をよく精査した上で綿密に述べられた本で、これに比べると藤井非三四「2・26帝都反乱」あたりはいまひとつ掘り下げの浅い本に思える。
(ただ藤井の本も当時の世相として5・15事件の犯人は現職の首相を不法な武力で暗殺するという一大事件だったにもかかわらず、本来適用外のはずの恩赦を受けて早期に釈放された、というくだりや、それに対して2・26事件では徴兵された若者を持つ親から「こんな勝手な独断に付き合わされる兵隊こそいい迷惑」と述べる意見が多く寄せられたなど興味深い記述もあり、まったく無価値でもない)
現状の2・26事件解説としては決定版とみなしてもよいのではないか。
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