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「黒ワニとハーモニカ」別館 バンダイがマーズジャケットをプラモにしてくれるのを待つ日記

ロボットアニメをわりと好むヲタによるブログ。 たまに少しだけ防衛問題について喋ったりもします。 あとパワードレッド・ドレッドノートHのプラモ化と、コトブキヤが有澤の雷電をプラモにしてくれるのも待ってます。

南瓜鋏の話

色々貴族制社会の歪みとか技術的発展のおかしさとか説明は長いんだけど要するにあれ
「歩兵が肉弾で戦車に挑む」
というのはどうしたらそんなことしなくちゃならなくなるの?っていうのを語ってるだけなんだよね。
「戦車を野砲で撃ったり対戦車砲を作ったりするのはNGなので歩兵が肉弾戦で対戦車戦をすることになるけど、ちょうど都合よく普通ならあるはずの機関銃はない」
という思い切り歩兵の肉弾対戦車戦闘描きたい都合で出来上がった世界観、一体それはなんだよ?というのを大まじめに理由付けして描いていくとこの作品になる。

平民=歩兵が貴族の乗り物である戦車を倒すようなことすると帝政が揺らぐだろっていう理由で野砲で直接照準できるような改造や対戦車砲を作るのが許されない。
戦車があって機関銃がないのはボルトアクションライフルが実は銃という概念が生まれた時点ですでにできてて、ただそれを実際に作る技術がなかったからそれが生まれるのに時間がかかったのであって実際に出来ちゃったら後は先込め式を駆逐するのに10年かからなかったとかいうメチャクチャな技術発展してる世界だから。

これを一行設定解説して終わりにしないで、じゃあそういう世界ってどんなことになってるの?ということを読者が具体的に実感できるように描いてるのが今の南瓜鋏。

帝国内部の権力闘争劇も戦争が長引きすぎて軍が権力持ちすぎたのでこうなりました、戦災の一種なわけで、「戦災復興」という根幹のテーマに直接かかわる話。
(その意味ではオーランド編は伍長の殺人に対する彼の意識を描くのと並んで、少尉と読者が漠然とした認識でいた「『戦災復興』って何よ?」というのを考え直す話でもあった)

まあ結論を言えば長い説明パートではあっても作品として必要な掘り下げだよねというのが言いたいんですが。
そういうのや敵の掘り下げを全部省いてただ主人公とその仲間の無双劇だけ見たい、っていうのを実際にやるとどうなるかは劣等生が示してくれたわけだし……

ところで「俺の私兵を貸してやるから俺にみかじめ料よこせ」ではなく「俺の私兵を貸してやるからそいつらに払う金よこせ」と要求するロンダリオ、創作の商売人の中でもトップクラスに公徳心高いんじゃねえのという気がしてます。
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劇場版パトレイバー2の話・再び

いやまあ昔あれエンタメ性犠牲にし過ぎの駄作だろ、パトである必要どこにもないじゃんということを書いて、それは今でもそう思ってるんですが。
もう少し掘り下げて。

単純にロボットアニメなのにロボアクションなさすぎ、っていう意味でパトじゃなくてもいいじゃんというのもあるんだけど、それ以上にこれ単に警察と自衛隊の争い描きたいってだけで、「レイバーというロボットが社会に普及して、その結果レイバー犯罪が増加し、それを取り締まるために警視庁に特車2課が設立された」というパトレイバーの作品要素をなんにも使ってないんですよね。
あれだったら警察モノならなんでもよくて、こち亀でも逮捕しちゃうぞでも警部補矢部謙三でも同じ話は別に作れちゃう。
(なんでここで引き合いに出されるのが踊るとか西部警察じゃないのかというと、そっちは俺は見たことないから)

あれだったらTV版9話のほうがよほどちゃんとした「パトレイバー世界での政治劇」になってて好き。
あれは「ソ連将校が新型軍用レイバー持って亡命してくるのを公安が手引したいので、建前としては「レイバー犯罪を管轄するのは特車2課だから」、本音としては「自衛隊を関わらせたくないので警察内部で済ませたい」という理由で特車2課に依頼を持ってきて、その新型軍用レイバーをバビロンプロジェクト反対派のテロリストが狙ってくる」という、ちゃんとパトレイバーという作品でないと成立しない政治劇になってる。そのバビロンプロジェクトだってレイバー使って東京湾埋め立てようぜっていう計画なんだから。
結局イングラムの戦闘シーンも出てくるんですが、この話はイングラムのアクションがあるから、というだけではない理由でちゃんとパトレイバーという作品世界の話です、と言える。何しろレイバーを巡ってレイバーに関わる組織人たちが政治的な駆け引きする話なんだもん。
いやこの話で酒田に出張してきた野明と遊馬の二人に関してはまったくそんなこと知らされないまま出張させられてるので、駆け引きするというよりは駆け引きさせられたんですが。

まあ結論としては「リアリティある創作=現実の模写」という押井的発想はやっぱりダメですね、という俺がよく言ってる話。